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無人島「ユルリ島」の野生馬が残り3頭に!北海道150年の節目にこの文化をどう伝えるか【北海道根室市】

最果ての地、北海道根室市の沖にユルリ島、モユルリ島という2つの無人島があります。

両島は、エトピリカなど貴重な海鳥の繁殖地であるとして、「ユルリ・モユルリ鳥獣保護区」と「北海道指定天然記念物」に指定されており、上陸には根室市の特別な許可が必要な場所です。

この2島のうち「ユルリ島」に野生化した馬が生息しているのをご存じでしょうか。

しかし、多いときで30頭いた馬は、2017年6月には3頭に減っています。

ここに住んでいる馬は、すべてメス。馬の寿命とともにユルリ島の馬の歴史は静かに終焉の時を迎えます。

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昆布漁を手伝うために馬はやってきた

ユルリ島は、周囲7.8km、面積168ha、海抜43m。山はなく台地状であるが中央部付近は湿地帯になっており小川も流れています。海岸線のほとんどは30~40mの絶壁になっています。

ユルリ島の馬は人間が持ち込んだもの。戦後、1950年代に本土に昆布の干場を持たなかった漁師が、土地を求めて島に移り住み、その際、切り立った断崖上にある干場に昆布を引き上げるため、馬を島に持ち込んだといいます。

肉にされるより島で余生を

しかし昭和40年代に入ると、本土にも新しい干場ができるとともに動力としてエンジンが普及し、人間が馬に頼る場面は無くなっていきました。

漁師たちは、「馬を引き上げても放つ場所が無く、肉にしてしまうのも忍びない、だったらこの島で余生を送らせてあげたい。」そんな思いで馬たちを島に追いて島を離れて行きました。

最後の漁師が島を後にしたのは1971年だったといいます。

その後、ユルリ島の馬は、近親交配を避けるために種馬だけが5年おきに入れ替えられオスの馬が生まれると間引きされました。

その活動を続けていた漁師たちも高齢化が進み、種馬は2006年に引き上げられました。

とうとう3頭にまで減った

2006年の時点で生存していた馬は14頭。2011年には12頭、2013年に10頭、2014年に6頭、2017年5月にはとうとう3頭までに減りました。

馬がいるおかげで、島では、背の高いイネ科の植物が増えすぎず、野鳥の格好の生息地となっていたり、貴重な花が咲いていたりします。

この島から馬がいなくなったら、島の環境はどう変わるのでしょうか。馬が関わって作ってきた生態系がある一方で、馬がいなくなったとき、島の本来の自然の状態になるということもできます。

写真家・岡田敦さんの活動

そんな島の現状を取材し続けているのが、北海道出身の写真家・岡田敦さんです。2011年以降、根室市の特別な許可を得て何度も上陸し、島のいまを写真と映像で記録しています。

この岡田さんの取り組みを追っている北海道テレビ(HTB)では、幾度となくテレビ番組で取り上げ、それがYoutubeの公式チャンネルでも公開されています。

この土地の文化を後世に伝えることが問われている

人間の都合で翻弄されている馬を話題にすることは、生活のために馬を使わざるを得なかった漁師たちを批判することにも繋がりかねないことなどから、これまでユルリ島のことを話題にするのは、タブー視されていたようです。

しかし、北海道と命名され150年を迎える2018年、島の歴史や現実を文化としてどうやって後世に伝えていくのかが問われているのかもしれません。

ユルリ島の対岸根室市で、このことを市民らに考えてほしいと、共有の場づくりをはじめた、写真家・岡田敦さんの取り組みは続きます。

【参考】
・岡田敦ユルリ島ウェブサイト

・北海道ファンマガジン「無人島「ユルリ島」の野生馬が2年半で半減?! 雌馬だけ6頭に」(2014/01/11)

<2018.03.16追記>
15日付け北海道新聞朝刊根室版によると、昨年市民有志により発足した「根室・落石地区と幻の島ユルリを考える会」が会員を60人まで増やし活動を活発化させているといいます。

市内の自然愛好家らで活動をはじめた同会は、島で野生化した馬や、海鳥、植生などの生態系について知見を蓄えるとともに、ユルリ島の本格的な保全に乗り出すべくNPO法人化を目指しているとのことです。

<追記2018.08.17>
「根室・落石地区と幻の島ユルリを考える会」では、現在のユルリ島の自然環境等を保全するために、適切な数の馬の島への移入を図るべく、クラウドファンディングにより資金の提供を求めています。期間は、2018年8月31日までです。最終目標金額200万円まで、あと約40万円となっています。

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