北海道空知郡上砂川町といえば、日本テレビ系列で1984年3月9日から放送された倉本聰脚本のテレビドラマ「昨日、悲別で」(きのう、かなしべつで)の舞台として知られています。
その上砂川町、かつては炭鉱町として栄え、1970年には、約15,000人いた人口も2015年には3,479人となっています。
道内の自治体としては、椴法華村の函館市編入以降、道内で最小の面積の自治体となっているほか、平均所得ランキングでも、道内で最下位(2017年)となっています。
しかし、上砂川には、「世界一」を誇れるものがあります。
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地上における微小重力環境創出装置による無重力保持時間10秒というのは、世界一の記録で、その記録を作った施設が、かつて上砂川町にあったのです。
その施設とは、我が国初の本格的な地下微小重力実験施設として通商産業省の指導により1989年(平成元年)に設置された「無重力実験施設JAMIC(株式会社地下無重力実験センター)です。
文部科学省の公式サイトによると、この施設では、「地上では創製しがたい合金や、超微粒子の生成、燃焼・溶接のメカニズム解明等高度な技術開発研究を微小重力環境下で行うため、閉山された炭鉱の縦穴を利用して真空カプセルを落下させて微小重力環境を再現する施設として設置された。」とのこと。
710mの縦穴を地下にむけて真空カプセルを落下させることで、約10秒にわたって10-5Gの微小重力状態を10秒間作り出すことができたとのことです。
この10秒という状態を地上で作り出していたことが、世界一の記録なのだそうです。
しかし、この世界一の施設も、実験需要の低迷からなのか、2003年(平成15年)に閉鎖されてしまいました。
1991年3月、上砂川町の無重力実験施設が脚光を浴びていた時代に、上砂川町により「無重力の日」が制定されました。
6(む)16(じゅうりょく)というゴロ合わせも、施設が閉鎖された今となっては、寂しさが漂います。
しかし、無重力実験施設の宇宙開発の実験場としての貢献から、後に小惑星イトカワのクレーターのひとつに上砂川(Kamisunagawa)の名が用いられたというエピソードがあります。
今でも、その外観は残っているそうです。日本における宇宙開発の聖地として、再び注目されるのを待っているかのように。
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