2020年、北海道の士別市で、岩手県が北限といわれるチョウセンカマキリが発見され、話題となりました。その後も、各地から目撃・捕獲情報が相次いでいます。もともとカマキリは生息しないとされていた北海道ですが、近年のカマキリ事情はどのようになっているでしょうか。
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<2020年11月4日付け北海道新聞電子版>
2020年11月4日付け北海道新聞の記事よると、発見したのは、建設会社経営の男性。士別市内で業務中に庭木を移動させているときに2匹のカマキリを見つけたのだそう。
自身のブログに掲載したろころ、「北限超えでは?」という意見が寄せられたため、丸瀬布昆虫生態館に写真を送ったことで、チョウセンカマキリだと判明しました。
当館の学芸員によると、庭木かか何かに卵が付いて士別に入り、ふ化したのでは?とのことです。
ただし、2匹とも幼虫で、気温が低いため、成虫になれずにいる状態なのだそうです。
そもそも、北海道でカマキリを見かけることは自体が希ですが、発見したとしても、ほとんどがオオカマキリだといいます。
ちなみに、チョウセンカマキリの見分け方は、前脚の付け根の胸前部がオレンジ色であることなのだそうです。
古い文献によると、1920年頃には、札幌市には分布しておらず函館ではオオカマキリ属の一部が記録されているとのこと。1940年代になると札幌に卵が持ち込まれ北海道大学の庭で繁殖したとの記録があるようです。
参照:日本自然保護協会
最近は、オオカマキリとウスバカマキリの2種類については、生息分布として北海道が記載されています。
道南地方では、しばしば目撃されるようで、オオカマキリの北限は八雲町と言われていた時代がありました。しかし、その北限はじわじわと道央地方にまで及んでいるようです。
過去には、2008年に小樽市でチョウセンカマキリの成虫が見つかった事例がありますが、今回の発見は、最北記録となります。
2007年から2008年にかけて小樽や余市、札幌で相次いで発見されたことから、小樽市総合博物館が、2008年11月~1月にかけて、ミニ企画展「どこから来たのか?-道央のカマキリとカマキリの世界」を開催したことがありました。
当時、小樽ジャーナルの取材に対し「最近の温暖化が影響しているのか?10年くらい経緯を見てみないと分からない」と学芸員が話しています。
参照サイト:小樽ジャーナル
カマキリに出会うことが珍しい北海道においては、発見されると話題となります。運良く写真に撮影されたものは、SNSに投稿され貴重な記録となっています。
<北海道の南部(道南地方)と思われる発見例>
<札幌の隣町の江別市での発見例>
<札幌市民と思われる方のツイート>
<十勝地方と思われる事例>
以上、探せばキリがないですが、室蘭市くらいまでは既に定番となっているようです。
珍しさのあまり、カマキリに出会うと、つい喜んでしまいますが、北海道においては国内外来種の生物でもありますし、既存の生態系に悪影響が無いのか心配ですね。
<2023年最新情報>
●2023年8月29日 夕張市教育委員会の職員が、南清水沢の市拠点複合施設りすた敷地内でオオカマキリを発見(2023.09.06北海道新聞電子版より)
●2023年9月下旬に倶知安町内の幼稚園敷地内の畑のニンジンの茎にいたでウスバカマキリが発見され、倶知安町立博物館「倶知安風土館」に寄贈された。体調7センチ、10月4日に死んだため同館は標本化を進めている。(2023.10.14北海道新聞、小樽・後志版より)
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